〒272-0143 千葉県市川市相之川4−15−2 吉野ビル2F 047-702-5409 080-9982-7252(初診専用)
記事

院長コラム

TOP > 院長コラム

「自分はADHDかもしれない」と思ったら|セルフチェックと受診の目安

「仕事でまた同じミスをしてしまった」「大事な約束を忘れていた」「会議中、気づいたら全然別のことを考えていた」——そういった経験が重なるうちに、「もしかして自分はADHDなのかもしれない」と思い始めた方は、近年とても増えています。

ただ、ネットのセルフチェックだけでは「当てはまる気もするし、違う気もする」と判断がつかないことが多いのも事実です。

この記事では、ADHDとはどういう特性なのかをおさらいしながら、受診を考えるべき目安・診断の流れ・よくある疑問に、南行徳メンタルクリニック院長・川向がまとめてお答えします。「自分はADHDかもしれない」と思っている方の、次の一歩を踏み出すための記事です。

■ この記事でわかること

1. 大人のADHDとはどんな状態か

2. ADHDセルフチェック:よくある困りごとリスト

3. 「ADHDっぽい」と「ADHDである」は違う

4. 受診すべき目安とタイミング

5. 受診したら何をするのか(診断の流れ)

6. よくある質問(Q&A)

■ 大人のADHDとはどんな状態か

ADHD(注意欠如多動症)は、脳の神経発達の特性により「注意の持続」「衝動のコントロール」「行動の段取り」が苦手になる状態です。生まれつきの特性であり、怠けや意志の弱さとは無関係です。

子どもの頃は「落ち着きがない」「忘れ物が多い」で済んでいたものが、社会人になって管理すべきことが増えた途端に困難が表面化するケースが多くあります。また、女性や知的水準が高い方は工夫や努力でカバーしてきたために、大人になるまで気づかれないことも少なくありません。

ADHDには主に3つのタイプがあります。

・不注意優勢型:ミスが多い・忘れっぽい・整理が苦手。多動は目立たないため見過ごされやすい

・多動・衝動性優勢型:じっとしていられない・思ったことをすぐ口にする・順番が待てない

・混合型:不注意と多動・衝動性の両方が見られる。最も多いタイプ

厚生労働省の「こころの情報サイト」でもADHDについて詳しく解説されています。

■ ADHDセルフチェック:よくある困りごとリスト

以下は、大人のADHDでよく見られる困りごとです。「子どもの頃からずっとそうだった」という項目が複数当てはまる場合、専門医への相談を考えるひとつの目安になります。

◆ 仕事・作業面

□ 締め切りや約束をよく忘れる

□ 同じミスを何度も繰り返す

□ 物事を順序立てて進めるのが苦手

□ 複数のタスクを同時に抱えると混乱する

□ 興味のない作業は手がつかない。逆に好きなことには何時間でも没頭できる

□ 会議中に話についていけなくなる、あるいは別のことを考え始める

□ メールの返信・書類の提出がいつも後回しになる

◆ 生活面

□ 財布・鍵・スマホをよく失くす

□ 部屋の片付けが極端に苦手

□ 衝動的に大きな買い物をしてしまうことがある

□ 感情的になりやすく、後から後悔することが多い

□ 時間の感覚が弱く、気づいたら遅刻していることがある

◆ 対人・コミュニケーション面

□ 人の話を最後まで聞くのが難しい

□ 思ったことをそのまま口にして、相手を傷つけてしまうことがある

□ 約束や連絡を忘れて、信頼を失ったことがある

【重要】このチェックリストは診断ツールではありません。あくまでも「専門家に相談するきっかけ」として活用してください。同様の症状はうつ病・不安障害・睡眠障害などでも起こるため、自己診断は禁物です。

■「ADHDっぽい」と「ADHDである」は違う

ADHDのセルフチェックに多く当てはまったからといって、ADHDであるとは限りません。これはとても大切なポイントです。

集中力の低下・忘れっぽさ・感情のコントロールの難しさは、うつ病・適応障害・睡眠障害・甲状腺疾患など、さまざまな病気でも現れます。特にうつ病は「以前はできていたことができなくなった」という経過をたどるのに対し、ADHDは「子どもの頃からずっとそうだった」という点が大きな違いになります。

逆に、「いくつか当てはまるけど、大したことではない」と思っていた方が、診断を受けてADHDと分かるケースもあります。ADHDの特性を持つ方は、長年の努力と工夫で困難をカバーしてきており、本人が「これくらい普通でしょ」と感じていることもあります。

「当てはまるかどうか」ではなく、「それによって生活に支障が出ているかどうか」が、受診を考える判断の核心です。

■ 受診すべき目安とタイミング

以下のいずれかに当てはまる場合は、精神科・心療内科への相談を検討してください。

・仕事や日常生活に繰り返し支障が出ている

・「自分はだらしない・ダメな人間だ」という自己否定感が強い

・子どもの頃から「うっかり」「忘れっぽい」と言われ続けてきた

・うつ病として治療を受けているが、なかなか改善しない

・パートナーや上司から繰り返し同じ点を指摘されている

・「なぜ自分だけできないのか」という感覚が長年続いている

「もしかして…」と思ってから受診までに何年もかかる方は珍しくありません。しかし診断が遅れるほど、自己否定感や二次的なうつ・不安が積み重なっていきます。市川市・船橋市・浦安市・江戸川区・南行徳エリアにお住まいで気になることがあれば、まず気軽にご相談ください。初診で「やっぱり違った」という結果になっても、それはそれで重要な情報です。

■ 受診したら何をするのか(診断の流れ)

「受診したらどうなるの?」という疑問は多いので、流れを整理します。

【STEP 1】問診・生活歴の聴取

現在の困りごと・症状がいつ頃から始まったか・子どもの頃の様子・学校・仕事での状況などを詳しく確認します。ADHDは幼少期からの特性であるため、子どもの頃のエピソードが診断の重要な手がかりになります。できれば、学校の通知表・親御さんの証言・当時の記憶をメモしておくと役立ちます。

【STEP 2】他の疾患の除外

うつ病・不安障害・睡眠障害など、ADHDと症状が重なる病気がないかを確認します。これらが主因の場合、ADHDの治療より先にそちらの対処が必要になることがあります。

【STEP 3】心理検査(必要に応じて)

WAIS(成人知能検査)やコナーズ評価尺度など、注意機能や認知特性を測る検査を行う場合があります。検査は1〜2時間程度かかることが多く、別日に実施するクリニックが一般的です。

【STEP 4】診断・治療方針の決定

問診・検査の結果をふまえ、ADHDの診断の有無と治療方針を説明します。薬物療法・心理社会的支援・生活の工夫など、その方の状況に合わせた選択肢を一緒に考えます。

なお、初回の受診で必ずしもその日のうちに診断が出るわけではありません。複数回の診察を経て診断が確定するケースもあります。

関連記事:注意力散漫の原因は病気?ADHDとの関係と対処法を精神科医が解説

■ よくある質問(Q&A)

Q. ADHDの診断は何科で受けられますか?

A. 精神科または心療内科で受けられます。発達障害を専門に扱うクリニックでなくても、多くの精神科・心療内科でADHDの診断・治療が可能です。かかりつけ医に紹介状を書いてもらう必要はなく、直接受診できます。

Q. 大人になってからでもADHDと診断されますか?

A. はい、されます。ADHDは子どもだけの病気ではなく、大人になって初めて診断されるケースは増えています。「子どもの頃から困りごとがあったが、社会人になってから限界を感じた」という方の受診が多いです。

Q. 診断されたら薬を飲まなければいけませんか?

A. いいえ、必ずしも薬が必要というわけではありません。困りごとの程度や本人の希望によって、生活の工夫・環境調整・カウンセリングだけで対応するケースもあります。薬を使う場合も、医師と相談しながら慎重に進めます。

Q. ADHDの薬には依存性がありますか?

A. 代表的な薬のひとつ「コンサータ(メチルフェニデート)」は中枢刺激薬で、依存リスクがあるため処方できる医師・薬局が登録制で管理されています。一方、「ストラテラ(アトモキセチン)」や「インチュニブ(グアンファシン)」は非中枢刺激薬で依存性は低いとされています。医師と十分に相談した上で選択します。

Q. 受診前に準備しておくことはありますか?

A. 以下をメモしておくと診察がスムーズです。

・いつ頃から・どんな場面で困っているか

・子どもの頃のエピソード(学校での様子・通知表の内容など)

・現在の仕事内容・職場環境

・これまでの通院歴・服薬歴(ある場合)

Q. 診断を受けることで、職場や生活に影響が出ますか?

A. 診断を受けたこと自体が職場に知られることはありません。診断書の提出は本人の意思によるものです。一方、診断を開示することで職場の合理的配慮(業務の調整など)を求めやすくなるメリットもあります。

■ まとめ

・ADHDは脳の神経発達の特性で、怠けや意志の弱さとは無関係

・セルフチェックで多く当てはまっても、診断は専門医にしかできない

・「生活に支障が出ているかどうか」が受診を考える判断の核心

・診断の流れは問診→他疾患の除外→心理検査→診断・治療方針の順

・薬は必須ではなく、本人の状況・希望に合わせて選択する

・診断は「自分を知るためのスタートライン」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

予約はお電話またはWEBで承っておりますので、こちらからお願いします。

初診専用番号:080-9982-7252

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 著者

南行徳メンタルクリニック院長 川向 哲也

経歴

・神奈川県立相模原高校卒業

・慶應義塾大学理工学部

・島根大学医学部卒業

・島根大学精神医学講座(助教 医局長)

・石東病院(島根県大田市)(診療部長)

・相模ヶ丘病院(神奈川県相模原市)(副院長)

・秋元病院(千葉県鎌ヶ谷市)(院長)

・2021年4月 南行徳メンタルクリニック開設

・千葉県精神保健福祉センター非常勤医師(措置診察担当)

資格・所属学会

・精神保健指定医

・日本精神神経学会

・日本医師会認定産業医

・臨床研修指導医


本記事は、医療機関の経営支援・Web戦略支援を専門とする「株式会社C&D Hub」の取材・編集協力のもと作成しています。

コラム一覧へ戻る →