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大人のADHDとは?子どもの頃と違う「気づかれにくい」特徴と診断まで

「なぜ自分だけ、こんなに忘れ物が多いんだろう」
「集中したいのに、気がつくと全然関係ないことを考えている」
「同じミスを繰り返して、もう自分が嫌になる」

こういった悩みを何年も、あるいは何十年も抱えながら、「自分の性格の問題だ」「努力が足りないだけだ」と思い続けてきた方は、思っているよりずっと多くいます。

そしてある日、何かのきっかけで「ADHDかもしれない」という言葉に出会い、胸がざわついた——。

そんな経験をお持ちの方に、この記事を読んでいただけたらと思います。大人のADHDとはどういうものか、子どもの頃とどう違うのか、どうすれば正しく診断してもらえるのか。精神科専門医の立場から、丁寧にお伝えします。

1:ADHDとは何か|脳の「働き方の違い」という理解

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、脳の神経発達に関わる疾患です。注意を持続する・衝動をコントロールする・行動を計画する——こうした機能に関わる前頭前野の働きに特性があり、日常生活でさまざまな困りごととして現れます。

よく誤解されるのですが、ADHDは「怠け」でも「努力不足」でもありません。本人はむしろ、人一倍頑張っていることが多い。それでもうまくいかない、という状態が続くのがADHDの苦しさです。

厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」によると、ADHDは子どもだけの問題ではなく、成人においても診断・治療の対象となる疾患として明確に位置づけられています。
参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

ADHDには大きく3つのタイプがあります。

【不注意優勢型】
集中力が続かない、忘れ物・失くし物が多い、話を最後まで聞けないなど、注意に関する特性が主体。大人、特に女性に多いとされます。

【多動・衝動優勢型】
じっとしていられない、話が止まらない、考える前に行動してしまうなど。子どもに多く見られるタイプです。

【混合型】
不注意と多動・衝動性の両方が見られるタイプです。

大人のADHDでは、この中でも「不注意優勢型」が目立つケースが多く、それが「気づかれにくい」理由の一つになっています。

2:なぜ大人になってから気づくのか

「子どもの頃はそんなこと言われなかったのに、なぜ今さらADHD?」と感じる方もいるかもしれません。実はこれ、とても自然なことです。

子どもの頃は、時間割・担任の先生・親の管理など、外部からのサポートが自然と組み込まれています。忘れ物をしても誰かが気づいてくれる、宿題も声をかけてもらえる。ADHDの特性があっても、環境に助けられてなんとかなっていることが多いのです。

ところが大人になると話は変わります。

・自分でスケジュールを管理しなければならない
・複数の仕事を優先順位をつけて同時進行する
・約束や締め切りを自分で管理する
・人間関係のトラブルも自己責任で処理する

こうした「自己管理の要求」が一気に高まる社会人生活の中で、これまで隠れていた特性が「困りごと」として浮かび上がってくるのです。

また、子ども時代に「おとなしい子」「内気な子」として過ごしていた女性の場合、多動症状が目立たず、周囲にも本人にも気づかれないまま大人になるケースが特に多くあります。「私はずっと不注意で、要領が悪くて……」と自分を責め続けながら、40代・50代になって初めてADHDと診断される方も珍しくありません。

3:大人のADHDに特有の「気づかれにくい」症状

子どもの頃のADHDのイメージ——授業中に立ち歩く、じっとできない——とは大きく異なり、大人のADHDは「内面の混乱」として現れることが多いです。

■ 仕事・作業に関すること

・期限が迫っているのに、どこから手をつければいいかわからなくなる
・一つのことをやろうとすると、別のことが気になって途中で止まる
・「後でやろう」が積み重なって、気づくと手に負えない状態になっている
・細かいミスを繰り返す(数字の見間違い、書類の漏れなど)
・会議中に話を聞いているつもりが、気づくと全然入っていない

■ 日常生活に関すること

・財布・鍵・スマホをどこかに置き忘れる、毎日探す
・冷蔵庫に同じ食材が複数ある(買ったことを忘れる)
・約束の時間を間違える、すっかり忘れる
・部屋や机の上がいつも散らかっている(どこから片付ければいいかわからない)
・やることリストを作っても、リスト自体を忘れる

■ 人間関係・感情に関すること

・相手が話しているときに、ふと別のことを考えてしまう
・感情の波が激しく、小さなことでカッとなったり、落ち込みが深い
・「また迷惑をかけた」という罪悪感と自己嫌悪のループ
・衝動的に発言して後悔することが多い

これらの特性は、「性格が悪い」「気合いが足りない」とよく誤解されます。でも本人は本当に困っているし、「なんとかしよう」と毎日戦っています。その疲労感と自己評価の低さが、うつ病や適応障害を引き起こすことも少なくありません。

ADHDと適応障害の関係については、こちらのコラムも参考にしてみてください。
→ ADHDと適応障害──職場ストレスの背景に発達特性があることも
https://toku-mental.com/archives/233

4:「自分をADHDと思い込んでいる」可能性もある

インターネットでADHDに関する情報が増えたこともあり、「もしかして自分もADHDかも」と感じる方は年々増えています。ただ、正直に申し上げると、「ADHDのような症状」があるからといって、必ずしもADHDとは限りません。

ADHDに似た症状を引き起こす原因は、他にもあります。

・睡眠不足や過労による集中力の低下
・うつ病・適応障害による意欲・集中力の低下
・不安障害による思考の散乱
・甲状腺疾患などの身体的な問題
・強いストレス状態

特に重要なのは「うつ状態」との区別です。うつ病でも「集中できない」「何も手につかない」「忘れっぽくなった」という症状が出ます。ADHDと間違えて自己診断してしまうと、本来必要な治療にたどり着くのが遅れてしまいます。

「ADHDかもしれない」と感じたら、自己判断で結論を出すのではなく、専門医に相談することが大切です。正確な評価には、問診・心理検査・生育歴の確認などが必要で、それができるのは医療機関だけです。

5:ADHDが仕事・日常生活に与える影響

大人のADHDが深刻なのは、放置することで二次的な問題が積み重なっていく点です。

仕事では、ミスや納期遅れが続いて評価が下がる、上司に何度も同じことを注意される、職場の人間関係がうまくいかない——こうした経験が蓄積することで、自己肯定感が著しく低くなっていきます。

「自分はダメな人間だ」「どうせまたやらかす」という思い込みが強くなり、新しいことへの挑戦を避けるようになる。これが続くと、うつ病や適応障害として症状が現れてくることがあります。

実際に当院(南行徳メンタルクリニック)に来られる患者さんの中にも、「うつで仕事を休んでいたら、実はADHDが背景にあった」というケースは決して少なくありません。市川市・南行徳・浦安市・船橋市・江戸川区にお住まいの患者さんからも、「もっと早く気づいていれば」という言葉を何度も聞いてきました。

ADHDに気づかずに過ごした年月を責める必要はありません。でも「もしかして」と思ったら、その直感を大切にしてほしいのです。

6:大人のADHDの診断はどうやって受けるのか

「病院に行ったら何をするんだろう」「検査があるの?」と不安に思っている方も多いと思います。診断の流れをざっくりお伝えします。

■ ステップ1:問診(初診時)

まず、現在困っていること・いつ頃から・どんな場面で困っているかを中心に、丁寧にお話を伺います。「うまく話せるかな」と心配しなくて大丈夫です。「言葉にならない」「うまくまとまらない」という状態も含めて診ています。

■ ステップ2:生育歴・生活歴の確認

ADHDは発達の特性であるため、子ども時代の様子(学校での様子、忘れ物が多かったか、授業中に上の空だったか、など)を確認することがあります。可能であれば、親御さんや当時を知っている方からの情報があると参考になりますが、必須ではありません。

■ ステップ3:心理検査

必要に応じて、注意機能や認知特性を測る検査(CAARS・WAISなど)を行います。数十分〜数時間かかりますが、ADHDの特性を客観的に評価するための大切なデータになります。

■ ステップ4:診断と治療方針の決定

検査の結果と問診の内容を総合して、ADHDかどうか、どのような支援が必要かを判断します。すぐに「ADHDです」と断定するのではなく、経過を見ながら確認していくことが多いです。

診断には複数回の来院が必要なこともありますが、「一度行ったら終わり」ではなく、一緒に整理していくプロセスとして考えていただければと思います。

7:診断を受けた後の治療・サポートについて

ADHDと診断された場合、治療は大きく「薬物療法」と「非薬物療法」に分かれます。

■ 薬物療法

コンサータ・ストラテラ・インチュニブなど、ADHDに効果が認められている薬があります。脳内の神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリン)のバランスを整え、集中力の維持や衝動のコントロールをサポートします。

「薬を飲むと人格が変わる」という心配をされる方がいますが、そういったことはありません。「集中しやすくなった」「頭の中がすっきりした感じ」と表現される患者さんが多いです。

ただし効果には個人差があり、全員に同じ薬が効くわけではないため、主治医と相談しながら調整していきます。

■ 非薬物療法(環境調整・認知行動療法など)

薬だけが治療ではありません。「どんな環境で働くとミスが減るか」「どんなツールを使えば段取りが組みやすいか」といった、実生活での工夫を一緒に考えていく支援も重要です。

また、ADHDの特性を持ちながら生きることで蓄積してきた「自己否定の癖」に対して、認知行動療法的なアプローチが有効なケースもあります。

当院では、診断後も継続的に関わりながら、患者さん一人ひとりの生活に合った支援を考えています。

8:受診を迷っているあなたへ

「病院に行くほどのことじゃないかもしれない」
「もし本当にADHDだったら、どうしよう」
「ADHDじゃなかったら、ただの怠け者ってことになる?」

受診を迷う気持ち、よくわかります。でも、一つだけお伝えさせてください。

診断がついても、つかなくても、「なぜうまくいかないのか」を一緒に考えてもらう機会を持つこと自体に、大きな意味があります。

長年「自分がおかしいのかな」と思いながら過ごしてきた方が、「これはあなたの性格のせいじゃなく、脳の特性なんです」と言われたとき、涙を流される方は少なくありません。それは「やっとわかってもらえた」という安堵の涙です。

市川市・南行徳・浦安市・船橋市・江戸川区にお住まいで、「もしかしてADHDかも」と思っている方、あるいは「なんとなく生きづらい」と感じている方、まずは一度、当院にご相談ください。

「話すだけでいい」「初診だからといって何かを決める必要はない」——そのくらいの気持ちで、来ていただければと思います。

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【監修・著者プロフィール】

南行徳メンタルクリニック院長 

川向 哲也(かわむかい てつや)

■ 経歴
・神奈川県立相模原高校 卒業
・慶応義塾大学理工学部
・島根大学医学部 卒業
・島根大学精神医学講座(助教・医局長)
・石東病院(島根県大田市)診療部長
・相模ヶ丘病院(神奈川県相模原市)副院長
・秋元病院(千葉県鎌ヶ谷市)院長
・2021年4月 南行徳メンタルクリニック 開設
・千葉県精神保健福祉センター非常勤医師(措置診察担当)

■ 資格・所属学会
・精神保健指定医
・日本精神神経学会
・日本医師会認定産業医
・臨床研修指導医

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本記事は、医療機関の経営支援・Web戦略支援を専門とする
「株式会社C&D Hub」の取材・編集協力のもと作成しています。
https://cdhub.co.jp/
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