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院長コラム

2025.11.15

適応障害とは?うつ病との違いを医師がわかりやすく解説

仕事のストレスや人間関係の悩みなど、現代社会の中で心が疲れてしまうことは誰にでもあります。
そんな中で「最近なんだか気分が沈む」「眠れない」「会社に行くのがつらい」と感じている方の中には、適応障害うつ病の可能性がある方も少なくありません。

この記事では、南行徳メンタルクリニック院長の川向哲也が、両者の違いや受診の目安について、専門的な立場からわかりやすく解説します。
(市川市・浦安市・船橋市・江戸川区などのエリアから多くの方がご来院されています。)


適応障害とは?

適応障害とは、特定のストレスが原因で、心や体に不調があらわれる状態のことをいいます。
たとえば以下のような場面です。

  • 職場で上司とうまくいかない
  • 新しい部署や学校になじめない
  • 家族の介護や離婚など、生活環境の変化が大きい
  • 引っ越しや転職などで人間関係が変わった

このような「原因がはっきりしているストレス」によって、不眠、食欲不振、集中力の低下、涙もろさ、イライラなどの症状が出ます。
ストレス要因が続く限り症状が出やすく、逆に環境が変わると比較的早く回復することもあります。


うつ病との違い

うつ病は、脳の働きそのものが変化してしまう病気です。
原因が一つではなく、心理的ストレス、身体的疲労、遺伝的な要因などが重なって発症します。
適応障害と異なり、「きっかけがなくても落ち込みが続く」ことが特徴です。

比較項目適応障害うつ病
主な原因はっきりしたストレス(職場・家庭など)ストレスに加え、脳の機能変化など複合要因
症状の範囲  ストレス状況に限定される原因に関係なく続く
回復の経過  環境が変われば改善しやすい環境を変えても改善に時間がかかる
治療の中心環境調整中心抗うつ薬や休養など生物学的治療も必要

このように、「原因の明確さ」と「症状の持続性」が大きな違いです。
ただし実際の診療では、どちらとも言い切れない中間的なケースも少なくありません。


よくある誤解と注意点

「気の持ちよう」ではない

適応障害も、れっきとしたストレス関連の精神疾患です。
「頑張れば治る」「気にしないようにすればいい」と周囲に言われることもありますが、それは誤解です。
本人の努力ではどうにもならない状態に陥っていることが多く、専門的なサポートが必要です。

「甘え」ではない

日本では、まだ「休職=甘え」という偏見が残っています。
しかし、無理を続けて症状が悪化すれば、うつ病へと移行してしまうこともあります。
早めの受診・相談が、自分や家族を守る大切なステップです。


適応障害の治療

1. 環境調整

原因となっているストレスを軽減することが最も重要です。
たとえば職場での配置転換、勤務時間の調整、家庭での役割分担の見直しなどです。

2. 心理療法(カウンセリング)

ストレスの受け止め方や考え方のクセを整理し、心の負担を軽くします。
「認知行動療法」や「ストレスマネジメント」が有効なことも多くあります。

3. 薬物療法

必要に応じて、抗不安薬や睡眠導入剤などを一時的に使用することがあります。
ただし、症状の根本的な原因はストレス環境にあるため、薬だけでの改善は難しい場合があります。


適応障害とうつ病、どちらも我慢しないことが大切

適応障害もうつ病も、「心のブレーキサイン」を出してくれている状態です。
つらいと感じる自分を責めるのではなく、「少し休もう」と立ち止まる勇気が、回復の第一歩です。

市川市・南行徳・浦安市・船橋市・江戸川区など、首都圏エリアでも心の不調を訴える方が増えています。
ひとりで抱え込まず、まずは医療機関に相談してください。

厚生労働省も、適応障害やうつ病の早期受診・相談の重要性を強調しています。
詳しくは厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」もご参照ください。


まとめ

  • 適応障害は、特定のストレスが原因で心身の不調が起こる状態
  • うつ病は、脳の働きそのものが変化し、原因に関係なく気分の落ち込みが続く状態
  • 無理を続けると症状が悪化するため、早めの相談が大切
  • 治療は環境調整・心理療法・薬物療法を組み合わせて行う

予約はお電話で承ってますので、こちらからお願いします

初診専用番号:080-9982-7252


著者

南行徳メンタルクリニック院長 川向 哲也

経歴

• 神奈川県立相模原高校卒業
• 慶応義塾大学理工学部
• 島根大学医学部卒業
• 島根大学精神医学講座(助教 医局長)
• 石東病院(島根県大田市)(診療部長)
• 相模ヶ丘病院(神奈川県相模原市)(副院長)
• 秋元病院(千葉県鎌ヶ谷市)(院長)
• 2021年4月 南行徳メンタルクリニック開設
• 千葉県精神保健福祉センター非常勤医師(措置診察担当)

資格・所属学会
• 精神保健指定医
• 日本精神神経学会
• 日本医師会認定産業医
• 臨床研修指導医